バーチャルアート
- 2021.03.04
- その他
前回のコラムではバーチャルを用いたアートの楽しみ方についてお話ししましたが、今回は「バーチャルアート」というものについてお話ししたいと思います。
バーチャルリアリティとは、仮想でありながら限りなく現実に近い感覚を味わえる技術で、医療や環境、教育現場など様々な分野で活用されています。そのバーチャルリアリティをアートに応用したものをバーチャルアートといいます。
実際どのように体験できるかというと、ヘッドセットというゴーグルのような器械を装着して目を開けると、そこには仮想の空間が広がっています。ゴーグルにはヘッドフォン機能が搭載されているものもあり、その空間の中では音や光はもちろん、仮想の中で発色する色を使って立体像を描くことができるのです。バーチャルの中でアートを作成するアーティストの姿は美しいダンスをしているようで、仮想の中で出来上がった3Dアートは幻想的な色彩と仮想ならではの曲線美を醸し出します。
体験型のバーチャルアートでは、アーティストによって造られた仮想世界の中に実際に入り込んだような体験ができます。また、アートに触れている感覚が味わえるグローブも開発されていれ、先ほどのヘッドセットと併用すれば、視覚、聴覚、触覚ともに満たすことができます。つまり、味覚・嗅覚をプラスすれば人間の五感の全てに対応した体験ができるということです。
バーチャルリアリティは仮想の世界だけを活用したものですが、その仮想を現実に重ねて活用したものをオーグメンテッドリアリティ(拡張現実)といいます。
この技術は既に企業等で活用されていて、代表的なものに、疑似的に家具配置をするアプリが挙げられます。実物の空間の中に家具を配置した画像を映し出すことができるので、インテリアのコーディネートがしやすく、イメージが目視化できるのは市場において大きな強みになります。
この技術をアートに応用したものにプロジェクションマッピングがあります。実物の立体的な建造物の面や景色にアートを映し出し、土台となる建物のデザインとシンクロさせた音や光の色彩を放ちます。空間と映像を融合させ、現実の空間でありながら現実ではありえない仮想の世界を造り出します。
スクリーンを通して映像と一体化するオーグメンテッドリアリティとの違いは、肉眼で現実的に感じることが出来る点です。
今後、このような技術がますます私たちの生活に浸透してくることでしょう。実用的である一方で儚く、惑わされてしまいそうな魅力さえ感じます。
バーチャルアートに触れる上で注視すべきことは、この世のものとは思えぬ仮想の世界に取り残されるのではなく、仮想と現実の区別をしっかりと認識した上で、仮想と現実との融合を楽しむことだと思います。
これらの技術がもっと身近に手軽に実用できるようになったとして、例えば自分の部屋やお気に入りのカフェの内装におしゃれなアートが映し出されたり、架空のアートなインテリアやオブジェを自在に配置できたり、アートによる空間の模様替えなんかも日常当たり前にできるようになるかもしれません。どんなアートやインテリアが自分の部屋に合うか迷ったときにまず試しに飾ってみるということができたならどんなに楽しいことでしょう。
アートといえば本物であることが価値のあるものとされますが、日常を楽しむという意味においてのバーチャルアートの価値は計り知れません。今まで出会ったことのないようなアートの世界を体験することによって、新たな自分の発見ができるかもしれません。
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