バーチャルでアート作品を楽しむ
- 2021.02.26
- その他
「アート作品をウェブ上で鑑賞する」というと、単にオンラインでアート作品を閲覧することというイメージがあるかもしれませんが、このコロナ禍で注目されているのが「バーチャル展示」という形式です。
バーチャル展示とは、ストリートビューを用いて館内を自分のペースで歩き回ったり、作品を探して鑑賞したり、実際に美術館や博物館に足を運んで楽しんでいるかのような、まるでその空間に入り込んだかのような臨場感を味わえる展示方法です。実際の美術館は鑑賞スペースが決められていて、決まった方向からの鑑賞になることがほとんどです。しかしバーチャル展示では360度どの角度からも見渡せるものもあり、宝探しに出かけるような、冒険に出かけるようなワクワク感さえ感じます。
さらにウェブならではの特徴として、画面上でアート作品を拡大することもできるので、作品の細部の風合いや質感、素材、線などを鑑賞したりもできます。また、作品をあらゆる角度から鑑賞することもできます。彫刻など立体的な作品は裏側からでも鑑賞できるのです。まさに手に取るように鑑賞でき、普段の距離感では感じることのできなかった一面や知らなかった一面に触れることができるかもしれませんね。作品の背景や詳細な情報を同時に閲覧できるシステムもあり、より事実に基づく学術的な鑑賞ができることでしょう。
バーチャル展示は、日本の美術館だけでなく、海外の美術館も楽しむことができます。それぞれの美術館によっての特色も面白く、ルーブル美術館ではテーマに沿ったバーチャルツアーが開催されていますし、バチカン美術館のバーチャルツアーで観る天井図は格別なものがあることでしょう。バーチャル技術のおかげでこれまで出会ったことのない海外のアート作品や文化にまでもこれほどまで身近に味わえるようになりました。
バーチャルギャラリーというシステムも開発されていて、バーチャル展示の手法をギャラリーにおいても活用することが可能になってきました。バーチャルな空間にアーティストの作品を展示するというもので、鑑賞のみならずオンライン上で購入もできます。このシステムはコロナ禍のみならず、アーティストの表現の場としてこれから期待されるものだと思います。このシステムがより普及することによって、アーティストと私たちの日常をより結びつけてくれるのではないでしょうか。
アート作品をより身近なものとして楽しむこと、様々なアート作品に触れることが家にいながらできるようになりました。
実物を同じ空間で鑑賞することにもなんとも言えない趣があるけれど、先端技術の力でよりたくさんのアートに触れ、よりアートの細部に触れることも新たなアートの楽しみ方であると思います。何気ない日常に、新たなアートとの出会いがありますように。