七夕に短冊アート
- 2021.06.27
- その他
もうすぐ7月7日、七夕です。
天の川を渡って織姫と彦星が一年に一度だけ会える夜、願いを込めて短冊を飾ります。
笹の葉に色とりどりの短冊や飾りが飾られているのを見かけると、どこか楽しい気持ちになりませんか?短冊に目をやると、可愛らしい文字で一生懸命願い事が書かれています。
子どもの頃を思い出して、懐かしい気持ちと風流を感じます。
この短冊、色に意味があるのをご存じですか?
短冊は古代中国の『陰陽五行説』の考えが由来となっていて、黒、赤、白、黄、青の五色が使われてきました。(黒の短冊に関しては、願い事にはより縁起のいい紫が用いられるようになりました。)
それぞれの意味はというと、
紫(黒)の短冊・・・知識や知恵、学業に関する願い事
「ピアノが上手になりますように」や「合格できますように」などかと思います。
赤の短冊・・・両親や先祖、目上の人への礼や感謝する事
「家族が幸せに暮らせますように」「いつもありがとう」といったところでしょうか。
白の短冊・・・ルールや義務を守る事、何かを達成する願い事
「〇〇をしない」等規則に関することですね。
黄色の短冊・・・人を大切にする事、人間関係の願い事
「友達を仲良くできますように」のように人間関係を円滑にしたい等です。
青(緑)の短冊・・・人間力を高める事、成長に関係する願い事、短所や苦手な事をなくす願い事
このように決められていたようです。
そして願い事の他に、天の川など七夕に関する絵が描かれることもありました。
昔から絵を『描く』という事と『願う』という事には関係性が見出されていたのかもしれません。何かを表現することは『願う』事に似ていると思います。描くことは心の表現でもあるからです。
現在は短冊の色はそれほど重視されなくなり、好きな色を選ぶことが多いそうです。
自分の好きな色にも意味があるということらしいのですが、なにより年に一度の願い事、自分の選んだ色に思いっきり好きなように書きたいですよね。
色だけでなくデザインも多様化されてきて、短冊をアートのように飾る人も増えています。
短冊の中に絵を描くのはもちろん、短冊の形自体を変えてみたり、素材を変えてみたりして、素敵なアートになります。
その昔、七夕の短冊ではないですが、歌川広重は大短冊判に句や唄を添えた花鳥画を描いています。なんとも情緒深く美しい短冊です。このように短冊はそもそもアートとしての要素があり、親しまれてきました。
現代アートにおいても短冊アートとして個展が開かれたこともあります。
伝統として親しまれてきた短冊、現代にも受け継がれているのにはきっと古来の人々が七夕を大切に慈しんできたからでしょう。
七夕の日、想いを込めたアートな短冊が夜空にそよいでいたら素敵ですね。
-
前の記事
出会いを大切にすることでアート界がより豊かに 2021.05.28
-
次の記事
ガラスの器―インテリアとしてのアート― 2021.07.26